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そうこうしているうちに、また社会科準備室に世界地図を戻しに行かなければならなくなった。
この間から数回、先生は手を抜いて世界地図を持って来なかった。
その間はこの重い世界地図を棚の上に乗せなくて済んだから、楽だったんだけどな。
中間の前だからって、今日は気合いを入れて来たらしく、先生は地図を持って来た。
「あー、重っ」
誰に言うでもなく呟いて、引き戸を開く為に地図を下ろす。
その時、地図の陰から骨張った手が伸びて来て、あたしは驚いてビクリとした。
「毎回、マジメにやってんなぁ」
心地よい低音が、身体の中にストンと落ちて来る。
手は引き戸をガラリと開け、世界地図をヒョイと持ち上げた。
……青柳大輔。
あたしを追い越して準備室に入っていった彼の後に、そのままついて入った。
青柳大輔は、何も訊かずに世界地図をいつもの棚の上に置く。
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