初めての嫉妬

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   いつもの自分のペースを崩さないように、なるべく青柳大輔のことを考えないように過ごした。  それでも、毎日遅刻する青柳大輔が、実はほとんど同じ時間に登校して来ていることを、あたしは3日目にして把握してしまっていた。 「オハヨーゴザイマース」と、青柳大輔が遠慮なく引き戸を開くのは、9時10分前後。  ほとんどの先生は、青柳大輔が引き戸を開くと嫌な顔をして、「もう少し早く来なさい」と言うけれど、国語教師である担任の小杉(コスギ)先生だけはやれやれと溜め息をつき、「座りなさい」とたしなめる。  呆れてるのかな、なんて今まではぼんやり思ってたけど、よく見ると小杉先生には青柳大輔を見放しているような様子はなかった。  何でだろう?  黒板に書かれた、古典小説の解釈をノートに写しながら、あたしはひとり首を傾げた。 .
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