不登校の彼女

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   空がオレンジに染まり始めた頃、ようやく帰る気になったあたしは、学校指定のナップサックを抱えながら靴を履き替える。  校庭を横切り、門に歩き出した時、男の子の歓声が響いた。  サッカーのユニフォームを着た男の子と、体操服を着た男の子が混ざって遊んでいるのが見えた。  その中に青柳大輔を見つけて、思わず足を止める。  怒られたばかりのくせに、またああして遊んでるのかと思ったら、おかしかった。  変なの。  別に気を張って探してるわけじゃないのに、瞳が吸い寄せられるように彼の姿を捜し当ててしまう。  ううん、たぶん瞳だけじゃなくて、あたしの身体全部で。  あっちは別に、こんな校庭の隅っこにいるあたしのことなんて判らないだろうけど。  けれど何だか離れがたくて、縫い止められたようにその場に立ち尽くした。  そしたら、有り得ないことに目と目が合った。  ドキリ、と心臓がまた跳ね上がる。 .
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