不登校の彼女

12/12
324人が本棚に入れています
本棚に追加
/34ページ
  「そう?」  古澤さんは一瞬不思議そうな顔をしたけど、それ以上は何も訊いてこなかった。 「ねえ、いきなりなんだけど円香、って呼んでいい? 私も、真琴って呼んで欲しいな」 「ほんと? もちろん」  古澤さん……いや、真琴は自前のきれいなアイラインを細めて微笑んだ。  この子が、青柳大輔の幼なじみ、か。  あたしは真琴に笑いかけながら、ひとつの疑問が浮かんでチクリと胸が痛んだ。  青柳大輔に告白されて、嬉しかった。  だけど、真琴の存在が気になって仕方がない。  こんなきれいな子がずっと近くにいたっていうのに、彼はどうしてあたしを好きだなんて言ったんだろう。  これが不安だっていうことも判らずに、あたしは胸の底でチリチリと痛みを燻らせていた。 .
/34ページ

最初のコメントを投稿しよう!