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愛美が口を尖らせると、小杉先生はハハッと笑う。
「赤城も、大丈夫だな」
「もちろん」
「ありがとう。頼んだよ」
「ねえ先生、何で古澤さん、学校来ないの? イジメとかあったの?」
屈託のない愛美の質問に、小杉先生の眉が少しだけ寄せられる。
愛美の様子を見れば、他意がないことくらいはすぐに判る。
小杉先生は少しうーん、と唸ってから口を開いた。
「それがなあ、隠してるわけじゃないんだが……親御さんにも判らないらしいんだな。ただ、ある日突然学校に行きたくないって言い出して、そのまま」
「マジで? 気難しかったらどうしよう」
愛美が表情を曇らせると、小杉先生はいいや、と首と手を同時に振った。
「僕が行ったら話を聞いてくれるし、時々笑ったりもしてくれるし、素直ないい子だと思ってるよ。ちょっと繊細な感じはするかな」
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