325人が本棚に入れています
本棚に追加
そうして教室の前に戻ると、違うクラスの女の子が立っていた。
中に入るのに少し邪魔な位置に立っているその子は、あたし達に気付きはしてもどこうとはしない。
「感じワルッ」
愛美があたしの耳元で口を尖らせて囁いた。
笑ってそれに相槌を打つと、内藤くんがあたし達とすれ違う。
「悪い、みんなアイツがどこ行ったか判んないってさ」
「え~、この間から全然捕まんないんだよ~」
オレに言われても、と苦笑する内藤くんが少し気になって、あたしはチラッと振り返った。
内藤くんは入口を塞いでる女の子を前に、困った様子で軽く頭をかいている。
「大輔のヤツ、基本は一匹狼だからなー。オレらも詮索とかしたくないし」
「それでも友達なの~?」
「男同士はそんな女みたいにベタベタしないもんなの。何してるか知らなくたって、オレらダチだし」
.
最初のコメントを投稿しよう!