399人が本棚に入れています
本棚に追加
/34ページ
あたしより気合いの入ったお母さんにたたき起こされて、予定より30分も早く家を出る羽目になった。
あくびをしながらマンションのオートロックを開け、エントランスに出たところで、あたしは慌てて口を押さえる。
「……おはよ。でっけー口」
そこには、あたしを見ながらクッ、と笑いを漏らす青柳大輔。
彼がここにいる理由がまったく判らなくて、あたしが立ち尽くしていると青柳大輔は近付いて来た。
「テンション上がり過ぎて、つい顔見に来ちまった」
そう言って、ニッと歯を見せて笑う。
嘘でしょ……。
「な、何であたしの家……?」
言いたいことはそんなことじゃないのに、と胸の中で焦れた。
けど、それを訂正する言葉も浮かんで来なくて、あたしは彼の顔を見つめ返す。
「ここに赤城が住んでるってこと、前から知ってるからな。何でかは、ナイショ」
.
最初のコメントを投稿しよう!