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ペットボトルの蓋を開けながら、まや達はあまり興味なさげに話していた。
正直、あたしも似たようなもんだけど。
一応ガイドさんや先生の話や蘊蓄(うんちく)を聞いてはいたけど、さっぱり頭に入らなかったもんなぁ。
すると、それまで黙っていた真琴が口を開いた。
「大人って、ホント話が下手だよね。教科書通りのこと話されても、私達が楽しく聞けるわけないのに」
「あ、それ判る~」
やわらかくて優しい雰囲気を纏う真琴の口から、しっかりとした口調で繰り出された言葉に、愛美が何度も頷く。
「聞こうとは思ってるんだけど、結局意味判んないんだよねー。ね、円香」
「え? ああ、うん。そうだね」
あたしは内心驚いたことを隠しながら、真琴の横顔を見つめた。
「地図とか見たら、奈良ってきれいな地名多いじゃない? それだけでちょっと楽しみだったんだけどな。結局どこの何を楽しんだらいいか、よく判らない」
「真琴、地図とか見てたの?」
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