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その手に握られているのは、さっきあたし達を散々笑わせた、【大仏さまの鼻くそ】。
内藤くんが包装をパリパリ鳴らす度、鹿が鼻先で彼の手をつつきに来る。
鹿に奪われそうになった瞬間、内藤くんは飛び上がってお菓子をフライで投げた。
「オーライ」
キャッチしたのは、青柳大輔。
何度か繰り返しているらしく、鹿は内藤くんの手からお菓子がなくなっているのを見るやキッ、と青柳大輔を振り返り、トコトコとそちらへ歩いて行く。
「からかったりして、鹿怒らないの?」
「頃合いを見て、青柳が鹿せんべいやってるから」
ふうん、と言いながらあたし達はそれを眺めた。
角の先が丸くなった鹿なら、大丈夫かな。
すると、脇道からゆっくりと歩いて来るサド子のグループが見えた。
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