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またお菓子を受け取り、鹿にせんべいを差し出しながら答えた青柳大輔に向かって、真琴が普通に口を開く。
「何年に遷都したか、とかよりその方がよっぽど頭に残るよね。確かめに行った人の好奇心、判る気がする」
「まあなー。写メって来るっつってたから、オレ達はここで待ってるわけ」
またお菓子を投げ、青柳大輔は受け止め損ねた内藤くんを見てケラケラと笑った。
今の一言のやりとりじゃ、青柳大輔と真琴の関係って、まったく窺えない。
何となくひとりで複雑な気分になっていると、サド子のグループがあたし達のベンチまでやって来た。
その時、朝日奈くんがふざけてお菓子を愛美に押し付けるのが目に入った。
ノシノシやって来た鹿に悲鳴を上げると、愛美は草の上に駆け出す。
自然に男子に混ざった愛美を見ながら、サド子がフンと鼻で笑った……ような気がした。
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