1日目・奈良公園

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   サド子を見上げると、彼女は不機嫌な顔で仁王立ちしている。  隣の真琴と思わず顔を見合わせた。 「翠川さんって、いつもああだよね」  その言葉の意味が判らなかった。  悪意だってことは何となく判るんだけど、そもそもその悪意がよく判らない、っていうか。 「どういう意味?」  さっきのバスの中のこともある。あたしの中のサド子の株は絶賛大暴落中だ。 「ああやって男子のあとばっかり追いかけて、みっともないと思わない?」  カチンと来た。  愛美は確かに軽いところがある。  けど、あの子に下心なんてない。思った通りに振る舞っているだけだ。 「あのねぇ……」 「羨ましいなら、真似すれば?」  イライラしたあたしが口を開こうとすると、真琴の冷たい声がそれを抑え込む。 .
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