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サド子の顔が引き攣った。
サド子のグループの子は、困った顔をしながらオドオドと状況を見守っている。
裕子とまやはこの空気に参加する気はないらしく、ドラマでも見るように瞳を爛々と輝かせていた。
フゥと溜め息をついて、真琴はサド子を見上げる。
「あの3人の中に目当ての人でもいるの? 気を引きたいなら、もうちょっとうまくやれば」
サド子のくちびるが、わなわなと震えた。
やがてその顔が、怒りに赤く染まる。
「何なのよ、あんたは!」
そのまま真琴につかみ掛かろうとするサド子の前に、咄嗟に立ち塞がった。
「赤城さん、どいて」
「待ってよ。冷静になりなよ」
サド子の怒りが、次はあたしに向けられる。
――その瞬間。
パスンと音がして、サド子の身体がつんのめった。
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