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「あ、悪い」
そのまま地面に膝から倒れ込んだサド子の上に被さるように、内藤くんが土に手をついている。
内藤くんは焦ってサド子から離れ、立ち上がった。
そばにはお菓子が転がっている。
「うわー、サ……じゃねーや、片瀬、ごめんなー」
目の前まで来ていた鹿が首を傾げるその動作の向こうから、青柳大輔、愛美、朝日奈くんの笑い声。
「円香達も大丈夫ー? 英雄の大暴投、被害行ってない?」
「何、どういうこと?」
「英雄の手元が狂ったの。超フライ追いかけた内藤くんが、片瀬さんにぶつかっちゃった」
いまだに何が起こったか判っていない様子のサド子は、立ち上がるのも忘れてしきりにまばたきをしている。
責任を感じた内藤くんが、サド子に手を差し出した。
「マジごめん。立てる?」
するとサド子の顔が、さっきとは違う赤に染まる。
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