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「だ、大丈夫だから」
「そう? よかった。ごめんなー」
内藤くんの手が引っ込むのを、未練がましく視線で追いながら、サド子はノロノロと立ち上がってスカートを叩いた。
なるほど、サド子の意中の人は内藤くんってワケですか。
しかし、好きな人が近くで遊んでるのに、よくケンカなんて始める気になれるな、サド子。
呆れてサド子の横顔を眺めていると、真琴があたしの手を取って立ち上がる。
「え? 何?」
「キャッチお菓子、混ざろ」
ニコリと笑った真琴に異を唱える間もなく、あたしは草の上に連れ出された。
いつの間にか、鹿がたくさん集まっている。
すると、黙っていた青柳大輔がきょとんとしている裕子とまやにも声をかけた。
「やっべー。鹿せんべい足りねーわ。オレ金出すから、買って来て」
「え? あ、判った」
クスクス笑いながら、裕子とまやは売店に向かって走り出す。
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