ハプニング

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   段取りのいい大輔に連れられてやって来たのは、三十三間堂の隣にある養源院。  何かと思えば、ここには関ヶ原の戦いの前哨戦といわれる伏見城攻防戦で、自刃(ジジン=切腹)した武将達の血の痕が残る床板があるんだとか。 「京都に来たら絶対見たいと思ってたんだよな」 「あたし、やだ。気味が悪い」  顔を青くして拒否すると、パンフを見ながら真琴が口を開く。 「円香、床板は天井に張ってあるから、別に触ったりするわけじゃないんだよ?」 「どういうこと?」 「供養の為にここに持って来てんのに、生きてる人間がしこたま踏んで回ったら意味ないだろ。だから天井になってんだってさ。通称【血天井】」  大輔の言葉になるほど、と頷いた。  けど、それとこれとは別だ。  怖いものは怖いんだもんね。 .
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