251人が本棚に入れています
本棚に追加
段取りのいい大輔に連れられてやって来たのは、三十三間堂の隣にある養源院。
何かと思えば、ここには関ヶ原の戦いの前哨戦といわれる伏見城攻防戦で、自刃(ジジン=切腹)した武将達の血の痕が残る床板があるんだとか。
「京都に来たら絶対見たいと思ってたんだよな」
「あたし、やだ。気味が悪い」
顔を青くして拒否すると、パンフを見ながら真琴が口を開く。
「円香、床板は天井に張ってあるから、別に触ったりするわけじゃないんだよ?」
「どういうこと?」
「供養の為にここに持って来てんのに、生きてる人間がしこたま踏んで回ったら意味ないだろ。だから天井になってんだってさ。通称【血天井】」
大輔の言葉になるほど、と頷いた。
けど、それとこれとは別だ。
怖いものは怖いんだもんね。
.
最初のコメントを投稿しよう!