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多分朝日奈くんには最悪の提案をされて、彼は慌てて身を乗り出した。
それすら否定されそうな空気の中、愛美は口を尖らせる。
「せっかく京都なんだもん。次いつ来られるか判んないんだよ!」
「判った、判った翠川」
ヒートアップしそうな愛美をなだめるように、大輔が肩をすくめた。
「英雄、寺諦めて映画村行けよ」
「ええ!?」
「オレこっちでハーレム。翠川そっちで逆ハー。3対3でいーだろ」
映画村に行ければ何でもいい愛美は、目を輝かせてこくこくと頷いた。
「円香許して。あたしどーしてもくノ一が見たい」
「判ったよ……」
あたしは愛美を見ながら苦笑する。
大輔の提案にがっくりと肩を落とす朝日奈くんは、やっぱり愛美が好きなのかな。
そんなことを考えながら、あたしはちらりと真琴の顔を見た。
大輔がハーレムって言ったことが気になるわけじゃないけど、一昨日感じた不安が思い出される。
そんなそぶりは見せないけど、大輔と真琴は仲のいい幼なじみで。
ひょっとしたら、あたしひとり浮いてしまったりするのかな。
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