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「わ。ダメッ、あたし高いところ苦手」
「えー、見るだけだもん、平気だよ?」
クスクス笑う愛美と、震え上がるあたしを見ながら、真琴は景色を携帯で写メしている。
「こんな高いところから飛び降りるくらいなら、確かに多少のことは出来そうだよね」
「いちいちこんな怖い景色、思い出したくないよ」
「まあ、ね。けど、例えとしてはうまく出来てるよね……」
そう呟いた真琴の横顔は、少し寂しそうに見えた。
美人の憂い顔って、それだけで何だかとっても色っぽい。
急に、髪をもう少し伸ばしてみようかな、と思った。
真琴ほどじゃなくても、髪が長くなったら少しは女っぽく見えるかな、なんて。
そう思うのは、何のため?
すべてがたったひとりに繋がる自分の思考回路が、どうしようもないと思った。
そうしているうちに小杉先生の声が聞こえて、市外には出るなよ、と念を押されてから、一時解散になった。
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