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みんながいる時は、このふたりが直接絡んでるところなんて見たことなかった。
むしろ、他人みたいに知らん顔し合ってたのに。
くちびるを噛み締めて、あたしには割り込めないふたりの空気をただ眺めた。
少し過ぎった不安が現実のものとなって、あたしは逃げ出したくなってしまった。
だって、そうして並んでると、お似合いじゃん。
「今いんのが松原通で……、あ、四条通までは行かないんだな。歩いて行けそうだぞ、赤城」
呑気に顔を上げた大輔と、目が合った。
てか、また【赤城】か……。
何だか泣きそうだ。
「……どうかしたか?」
さすがにあたしの異変に気付いた大輔は、眉をひそめて携帯を閉じる。
「何でもない。ありがとう、行こう」
八坂神社への道なんて知らないけど、あたしは歩き出した。
こんなことなら、愛美の提案に賛成しとけばよかった。
みんなといたら多分大輔と真琴のツーショットなんて見ることもなかっただろうし、こんな疎外感を味わうこともなかっただろう。
京都タワー前の集合時間、早く来ないかな。
苦々しい気持ちを抱えて、あたしはふたりを見ないようにした。
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