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八坂神社は【祇園さん】とも呼ばれて、地元では親しまれている。
奉られているのは、素戔鳴尊(ｽｻﾉｦﾉﾐｺﾄ)と櫛稲田姫命(ｸｼﾅﾀﾞﾋﾒﾉﾐｺﾄ)という夫婦の神様。
聞いたことはあったけど、スサノオとクシナダ姫というのは、ヤマタノオロチを酒に酔わせて退治する話の主役のふたりのことだと、神社に来て初めて知った。
ついでに言うと、ここも縁結びの御利益があるんだそうだ。
愛美も来ればよかったのに、とメールをすると、知らなかった！ と少し悔しがるような返事が来た。
「さっきの地主神社は、若い女の子が多かったけど、こっちは落ち着いた雰囲気だよね」
周りを見ながら真琴が呟いた。
さっきの光景を思い出すと、真琴と話すのが何となく苦痛で、あたしは相槌だけで返した。
「赤城、まだ他に行きたいとこある？」
「うーん？ 実はよく知らなかったり。八坂神社は、お母さんに見て来なさいって言われて決めただけだし」
「何じゃそりゃ。じゃあ、あとはオレが決めていい？」
大輔の言葉にウンと頷いて、また南の方へ戻ることになった。
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