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照り付ける町並みを歩く根性はないと悟り、バスで東大路通を南に向かった。
すると、バスの中からふたりの舞妓さんが歩いて行くのが見えて、思わずテンションが上がった。
「うわ、キレイー! 普通に歩いてるー!!」
窓にへばり付いて小さく声を上げたあたしに、大輔が笑って見せた。
「そりゃ祇園だし、そっちが花見小路だから歩くくらいするだろ」
「ウソ、頭になかった~! 超キレイ」
写真撮りたかったなぁ、とぼやくと、大輔は信号に差し掛かって停まったバスの窓を勢いよく開けた。
「ちょっと、おねーさーん! そこの舞妓はーん!!」
ギョッとして大輔を見上げると、歩いていた舞妓さん達が立ち止まって振り返っている。
大輔はあたしの身体を引き上げ、同じように窓から覗くよう促した。
「この子、おねーさん達のこと超キレイって。手、振ってやってくれません?」
「ち、ちょっと」
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