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「鳥居元忠らの遺体は、関ヶ原の戦いが終わるまでの約2ヶ月もの間、伏見城に放置されてしまったんですな。真夏でしたから、いくら拭いても洗っても血痕は落ちずに残ってしまって……」
生々しい血の痕を前に、お坊さんが長い棒を持って説明してくれた。
あんまりあたしが怖がるから、大輔は軽いノリで手を繋いでくれている。
最初は真琴の前でこんなこと、と焦ったけど、血天井のある本堂の廊下に来てみたら、怖くて気にならなくなってしまった。
お坊さんはなおも続ける。
「これが鳥居元忠の頭で、ここが足で、刀を差しながら倒れてます。討ち死に、という話もありますね」
「ふわあああ、怖かった、ホンット怖かった……夢に出る……!」
「ビビリ過ぎだって。ホラ、もう外だから」
顔を覆ってかぶりを振るあたしの肩を、大輔は笑いながらポンポンと叩いた。
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