252人が本棚に入れています
本棚に追加
/33ページ
清水寺に向かうバスの中、急に雲行きが怪しくなった。
発端は愛美の「映画村行きたいかも」という気まぐれ発言。
それに何故か内藤くんが乗って、神社やお寺を回る気だったあたし達はただ困惑した。
「入村料1300円って書いてあるけど、お前ら正気か!? それに、そんなとこ行ったら他んとこ回れなくなるだろ!」
「えー、だって縁結びのじぬし神社で充分だもん。他は興味ない」
「……バーカ、【じぬし】じゃなくて【じしゅ】だっつぅの」
言い間違いまで重ねられて、朝日奈くんは早くもどっと疲れた様子を見せる。
「けど、どうせあちこち拝観料払ってたらそんくらいになっちまうだろー? 昨日奈良でケチッたのは、京都でプァーっと使う為」
「そうそ。どーせ英雄も、余分にお金持って来てんでしょ? お土産だって映画村で買った方がいいものあるよ」
「……うーん」
.
最初のコメントを投稿しよう!