混乱の影

18/18
218人が本棚に入れています
本棚に追加
/33ページ
   本当は、もっとクリアな気持ちで返事をしたい。  だけど、真琴の横顔と、あの言葉が頭から離れそうにない。 『お姉ちゃんと大輔、付き合ってたんだ』  真琴はきっと、大輔が好きなんだ。 『私の片想いなんだけどね。相手はちっとも気付いてくれない』 『気付いてくれたら、って思うけど、今の関係も大事で』 『……円香、いいな……ズルーイ……』  聞き流していた真琴の言葉の意味が、今なら判る気がする。  また、さっきの混乱が戻って来そうだ。  すると、また携帯が震えた。 【よかった。  オレ、円香に嫌われたら  ヨユーで死ねる笑】  こっちが戸惑うくらい、いつもストレートな大輔の想いが、何だか今は痛い。  どうしてそんなに鈍いのよ、バカ。 .
/33ページ

最初のコメントを投稿しよう!