195人が本棚に入れています
本棚に追加
そうして真琴と照れ臭さ混じりの笑顔をかわしていると、謀ったかのようにロビーに大輔が現れた。
大輔はあたし達を見つけるなり、目を丸くして驚きを見せる。
「何してんの、こんなとこで」
不思議そうにする大輔に、真琴は笑顔でヒラヒラと手を振った。
そして立ち上がると、そのまま大輔の横を通り過ぎる。
「真琴?」
「マナちゃんに用あるの思い出したから。じゃあね」
「あ? お、おう」
首を傾げる大輔の向こうで、真琴があたしに歯を見せて笑ったのが判った。
「!」
気を利かせてくれたのだと判って、顔がボッと熱くなる。
大輔は所在なさ気にあたしのそばまで歩いて来て、ニッと笑った。
「南館に誰もいないテラス見つけたんだけど、行ってみないか?」
「テラス?」
.
最初のコメントを投稿しよう!