止まらない気持ち

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  「うわー、星が見える」  テラスに出ると、ひんやりとした空気の真上にキラキラと小粒の星がたくさん瞬いている。  言う通り、あたし達に宛てがわれている西館とは違うせいか、南館は一般の宿泊客が少なくて、ほとんど人気がない。  だから、同じ学校の人とは出会わずそのテラスにたどり着いた。 「ねえ、黙ってこっち来ちゃって、大丈夫?」 「先生らは今交替で風呂入ってるみたいだし、部屋点呼までに戻れば、平気だろ」  振り返ると、大輔はリラックスした様子であたしを見つめて微笑んでいる。 「……ねえ、ひょっとして、誰も来なさそうな場所、わざわざ探した?」  身をすくめてそう訊ねると、大輔はニカッ、と悪戯っ子のような笑いを浮かべた。 「もう」 「嬉しくないわけ?」 「よくやるよ」  照れ臭いのと恥ずかしいのとで、あたしは手摺りにしがみついてうつむいた。 .
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