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少し面倒臭そうに、愛美は立ち上がった。
「円香、あたしちょっと行って来る。待たなくていいから」
「え? あ、判った」
ハーフパンツから伸びる愛美の脚は、すらりと長い。
それがちょっと羨ましいな、なんて思いつつ、あたしは隣の真琴をチラリと横目で見る。
真琴は愛美に手を振り、そして彼女もあたしを見た。
ドキリとしたけど、目をそらすことは出来ない。
すると、真琴は少し困ったような笑顔を見せた。
「突然なんだけど、話、いい?」
何か覚悟を決めたような、真琴の表情。
あたしはゴクリ、と息を飲み、頷いていた。
真琴はそのまま正面を向き、ソファーに背を預ける。
そして、 ささやくように穏やかな声で口を開いた。
「……円香、大輔のこと好きでしょ」
あたしは、静かに目を閉じた真琴の横顔に、目を奪われていた。
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