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「……どうして?」
「私、他の人とは違う。生まれた時からあいつと一緒なんだよ。見てれば判る」
眉尻を下げた真琴は、儚い微笑みを携えあたしを見つめる。
「あいつ、いいやつだよ。円香とお似合いだって、心からそう思ってる」
「……真琴」
「夕方、変なこと言ってごめんね。反省してる。お姉ちゃんのことなんて、円香には関係ないのに」
真琴は身体ごとあたしに向き直ると、なおも続けた。
「円香、気付いてるよね? 私が大輔を特別に思ってること。昨日から何度も微妙な顔してたから、それも判ってた」
大人びて冷静な真琴が、必死に話しているのが判る。
そこに下手な言葉を挟むことなんて無理で、ただそれを聞くしか出来なかった。
「……ずっと前からあいつのこと好きで……今も思い切れないのは認める。けど私、あいつと付き合いたいとか、そんなこと望んでないんだ」
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