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真琴は、そっと睫毛を伏せる。
「あいつがね。『グループの中に優しいいいコがいるから、修学旅行には来い』って言ってくれたんだ。ああ、大輔はそのコのこと好きなんだ、ってすぐに判った」
「え?」
「だから、どんな女なんだろうって。この目で見てやろうと思った」
少し低くなった真琴の声で、その想いの深さが判る気がした。
けれど、真琴は笑った。
「でも円香、ホントにいいコなんだもん。サド子みたいなのだったら、嫌がらせしてやろうと思ったのに、力抜けちゃうくらい」
「……真琴……」
「だからね、円香」
真琴はあたしの手を取り、真っすぐに目を見つめる。
「大輔のこと好きなら、あたしのことは気にしないで。諦めなくちゃいけないのに、長いこと諦めきれなかった。だけど、あいつの相手が円香なら、やっとそれが出来るかも知れないから」
「……け、けど、真琴……」
必死に語る真琴に、思わず泣きそうになった。
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