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「真琴、大輔に伝えたの?」
真琴は黙ってかぶりを振る。
「あいつ、私のことこれっぽっちも女だなんて思ってないよ。伝えて玉砕する気も起きないくらい」
「けど……」
「円香を安心させようと思って言ってるんじゃないんだよ? あいつにとって、私は妹でしかないの」
……そういえば、大輔自身がそんなことを言っていたかも知れない。
言葉が見つからなくて、瞳を揺らしながらあたしがうつむくと、真琴はクスッと笑いを漏らした。
「お人よしだね、円香は。私が大輔に好きだなんて言ったら、もう平気でいられるわけないくせに」
「そりゃ、そうだけど……」
「だから、大輔は円香が好きなんだと思う」
真琴は、握った手に軽く力を込めた。
「ね、私の為にも、あいつと幸せになって?」
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