197人が本棚に入れています
本棚に追加
/39ページ
あたしの驚きに、お母さんはフフン、と鼻高々に笑った。
「可愛いでしょ?」
紺地にグラデーションの効いた濃いピンクの芍薬と、淡い紫の蝶が舞うその浴衣は、見るだけであたしの胸をときめかせる。
それだけでなく、衿や袖、裾にレースが縫い付けられていて、可愛過ぎて眩暈がしそうだった。
「この間ピンクの浴衣を出してみたんだけど、もう円香には幼過ぎるから。だったら20歳過ぎても着れそうなの買ってしまおうと思って」
「ヤバイ、ヤバイお母さん、これすごい可愛い! ありがとう!」
「ふふ。喜んでくれてよかった。早くお風呂入ってしまいなさい」
浴衣を着せてくれる、ってだけでウキウキしてたのに。
お母さんのとんでもないサプライズに感動して、あたしはお風呂の中でちょっぴり泣いてしまった。
.
最初のコメントを投稿しよう!