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全力で走ったつもりだったけど、夏のサンダルが恨めしい。
お店を出たところで、あたしは大輔の手に腕を掴まれていた。
呼吸ひとつ乱さず、大輔はあたしの背後で溜め息をつく。
「何で逃げんの?」
「……だ、大輔こそ、なんで追いかけて来るの……」
「オレは、その……お前が、逃げるから」
「あたしも。大輔が怒って追いかけて来るから」
「……オレ、何もしてないし」
一気にお店の出口の階段をサンダルで駆け上がって来たせいで、膝が笑ってた。
「なぁ、何でこんなとこ来てんの? そーゆータイプだっけ?」
「……愛美が誘ってくれて、それで……」
「誘われたらどこにでもノコノコ行くのかよ」
何だかトゲのある言い方に、思わずカチンと来る。
「彼氏欲しいから、来たの! 何か文句あるの?」
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