懐かしい人

11/17
前へ
/33ページ
次へ
  「お姉ちゃんと別れてからも、来てくれて。だから私、思っちゃったんだ。そうだ、学校に行かなければ、大輔はこうして私を構ってくれるんだ! って」  勢いよくそう言ってから、真琴は深い溜め息をつく。 「……バカだよね、ホント」  肩をすくめて笑う真琴に、あたしは何も言えなかった。  好きだけど、付き合えなくて。  だけど、そばにいたくて。  そんな真琴の小さな恋心を、誰が責められるって言うんだろう。 「だからね、大輔に好きな子が出来たって判った時――それが円香だって気付いた時、もう潮時だって思ったんだ。だけど、私からはなかなか変えられなかった」 「真琴……」 「学校行こうって、毎朝思うんだよ。だけど玄関を出なければ、大輔が来てくれる。自分じゃどうにもならなくて、勝手に円香と自分の想いの板挟みになって、大輔のせいにしちゃってさ。だから、あんなことになっちゃった」 .
/33ページ

最初のコメントを投稿しよう!

174人が本棚に入れています
本棚に追加