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ズルイよね、と呟いて、真琴はうつむいてしまった。
「だから、大輔がバカやったって聞いた時、よけい円香に合わせる顔がなくて……」
「……大輔から聞いたの?」
「うん。無理矢理やっちゃった、どうしようって、アイツ、泣いてた」
「!? 泣いてた!? 大輔が!?」
「うん。大輔が泣いたの、初めて見たから……私も何も出来なかった」
真琴は、心配そうな目であたしを見つめる。
大輔が泣いてるところなんて、想像出来なかった。
だって、平気そうにしてたじゃない?
同じクラスにいたのに、一度も目が合わなかったくらい、他人な態度取ってたじゃない?
……それに、アレはちっとも無理矢理なんかじゃなかったじゃない……。
3年前の痛みがグルグルと回りながら戻って来て、まるで今起きたことみたいに心が疼き出した。
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