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すると、眼鏡くんが立ち上がり、入口に向かって手を振る。
「おぉ、ダイ、こっちこっち!」
特に興味はなくて、あたしは手元のコーラのストローに口を付けた。
コーラって、トイレ近くなるんだっけ……なんて、どうでもいいことを考える。
「な、エイユウ元気?」
「英雄は毎日汗だくんなって働いてるよ。てか、急に呼びつけんな」
「どーせひとりで走ってたんだろ? いいじゃん」
ヒデオ?
愛美と思わず顔を見合わせた。
たしか、朝日奈くんの名前ってヒデオ。
野茂英雄、えいゆうのヒデオだ。
あたしは薄暗い店内をこちらに向かって来る長身のシルエットを、目をこらして見つめた。
その人はサングラスをしていて、外しながら歩いて来る。
裸眼のその瞳が、ピタリとあたしで止まった。
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