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「彼氏、だって? そんなのオレがブッ壊してやる。3年前のお返しだ!」
その言葉に、周りの音が全て止んだ。
けど、大輔が息を飲んだ音は聞こえた気がした。
「お返し……?」
戸惑いながら訊き返すと、大輔はあたしの腕を掴む手に力を込める。
すると大輔は、小さく溜め息をついた。
「……3年前、誰かさんが意地張りまくったせいでパァにされた、オレの恋のな。オレは円香と別れるつもりなんてなかった」
ヘナヘナ……と、足腰から力が抜けた。
大輔は、慌ててあたしの腰を抱いて支えてくれる。
ねえ、大輔、これ何?
震えるあたしのくちびるを見て、大輔は一瞬目を細めると、空いた方の指でそこを軽くなぞった。
腕を掴む力が、少しだけ緩められた。
大輔を見上げると、少し傷付いたような瞳。
「……真琴に、聞いた。あの日のこと、怒ってないって……ホントか……?」
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