素直になれない

14/16
前へ
/33ページ
次へ
  「彼氏、だって? そんなのオレがブッ壊してやる。3年前のお返しだ!」  その言葉に、周りの音が全て止んだ。  けど、大輔が息を飲んだ音は聞こえた気がした。 「お返し……?」  戸惑いながら訊き返すと、大輔はあたしの腕を掴む手に力を込める。  すると大輔は、小さく溜め息をついた。 「……3年前、誰かさんが意地張りまくったせいでパァにされた、オレの恋のな。オレは円香と別れるつもりなんてなかった」  ヘナヘナ……と、足腰から力が抜けた。  大輔は、慌ててあたしの腰を抱いて支えてくれる。  ねえ、大輔、これ何?  震えるあたしのくちびるを見て、大輔は一瞬目を細めると、空いた方の指でそこを軽くなぞった。  腕を掴む力が、少しだけ緩められた。  大輔を見上げると、少し傷付いたような瞳。 「……真琴に、聞いた。あの日のこと、怒ってないって……ホントか……?」 .
/33ページ

最初のコメントを投稿しよう!

174人が本棚に入れています
本棚に追加