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慌てて家に帰ると、里子の言う通り、あたし宛にも真琴からのハガキが届いていた。
【鷲塚(旧・古澤)真琴】
差出人のところに、真琴の字で携帯ナンバーとアドレスが書かれている。
それを見て、あたしは軽く混乱した。
結婚なんて、早過ぎない? っていう当たり前のことより、大輔のことを好きな真琴しか頭になかったから、ついていけないというか。
もう一度、手書きのアドレスを見た。
これって、あたしと連絡取りたがってるのかな。
真琴とは、大輔とのことを聞いてしまったあの日から、ただの一言さえ言葉を交わしていない。
真琴が憎いと思ったことはない。
今思い返せばズルイと思わないでもないけど、多分あたしが真琴でも同じことをしたんじゃないかな。
どうしたらいいのか判らなかった、それがあたしと真琴の共通点だったのかも知れない。
あたしは、ハガキを手にしばらく考えた。
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