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あたしがゆっくりとそう言うと、真琴の瞳がじわりと滲んで、彼女はそっとうつむいた。
「だから、いいんだよ。あたし達、まだ15歳だったんだもん」
それは今のあたしの素直な気持ちだ。
すると、真琴は耐え切れなくなったのか、バッグの中からハンカチを出し、目頭をそっと押さえる。
「……ごめんね……ありがとう、円香」
「ううん」
「懺悔ってわけじゃないんだけど……私の話、していいかな?」
「うん」
軽く鼻をすすって、真琴はグリーンティーを一口飲んだ。
「私ね、不登校やってたじゃない?」
「うん」
「きっかけって、ホントにつまらないことだったんだけど。中1の終わり頃、伝染性のひどい風邪引いちゃって、2週間くらい起き上がれなくて、出席停止になったんだ」
真琴のグリーンティーのグラスに、水滴が付き始める。
真琴の指先がつい、とそれをなぞるのをあたしはぼんやりと見ていた。
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