椿と菊

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『兄上、私すぐ帰ってくるから、勝手に何処かに行ったりしては駄目よ?』 ー俺はあの時 菊を行かせるべきじゃなかった 『ふふっじゃあいって来ます!』 だって菊が出て行って直ぐに あの人達がやって来たのに…… 『おや、こんな所に小屋が。』 『少し休んで行きますか?』 『そうしよう。』 眩しい 開けないで こっちへ来ないでくれ 入って来ないで ここは俺達の…俺と菊の 『まぁ!貴方大丈夫?!』 『酷い怪我だ!直ぐに家に連れて行ってやろう!』 やめて やめろ! まだ菊が帰って来てない 妹が居るんだ…! 全身が痛くて指すら動かせない 息をするのがやっとの喉じゃうまく声を出せなかった 頼む気づいてくれ 菊…! 薄れていく意識の中で 何度も菊を呼んだけど 誰の耳にも届かなかった
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