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何?
泣いてるの?
誰が?
菊?
菊だ
菊が泣いてる
そばに行ってやらなくちゃ
どうしたの?
そんなに泣くなよ
俺に話して
悲しいのは半分こだよ
「…ぃく…。」
あれ?
ここ、どこだ
いつもの隙間から光が差すボロい天井じゃない
いつもみたいに床も硬くない
どこだ
ここはどこだ
菊はどこだ
俺は何でこんな所で寝ているんだ
「おや、目が覚めたかい?」
声のする方を見ると優しそうな年老いた女の人が襖を開けていた。
「気分はどうだい?」
「だ、れ…。」
くそ
全然喋れない
「あぁ、そうよね。私は梅。あなたが山奥の小屋で寝ているのを見付けて連れ帰ったの。」
分かってくれたのか
良かった…ん?
連れ帰った?
「ぉ。こ、ぉはど…。」
頼む
分かってくれ
「此処はどこ?って事で良いのかしら。」
そう!そうだよ!
「ここは私と主人の家よ。あの山からはそう遠くないわ。」
良かった。
早く、戻らなきゃ
菊が泣いてるんだ
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