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「はぁ…はぁっはぁ…」
息をする度に喉が裂けそうだ
節々が痛い
引きずる足が重い
陽は菊と別れた時より、あの家を出てた時よりも沈んで、辺りは橙色に染まっていた
そんなに遠くないって
言ってたのに
「くそっ…!」
俺の身体は早く帰らないとと言う気持ちだけで動いていた。
やっとの思いで小屋にたどり着いた時にはもう薄暗い月明かりに照らされていた。
「…く!きく!」
小屋が見えるのに菊の気配がしない。
何だか胸がざわつく
「きく…!」
精一杯大きな声で呼んでも反応がない。
いつもならもう帰ってる頃だよな
菊、おい、菊
転がるように小屋に入ると
中には誰も居なかった。
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