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一通りの肉をカゴに放り込んで、七三たち探す。
あまり来ないのであろう百輔は、興味深そうに、キョロキョロと辺りを見回している。
「あっ!本岡くんっ!」
呼び止められて視線を向けると、槻野がこちらに手を振っていた。七三たちも一緒だ。
三人が、近づいてくる。
「そっちはどう?」
「うんっ、これくらいでいいかなって」
俺の問いに、槻野がカゴの中を見せて微笑んだ。
というかオイ、七三。
カゴ持ってやらなかったのか。
七三に目を向けると、七三もしきりに辺りを見回している。
そうか、こいつも一応金持ちだったか………。
「げ」
カゴの中を見た百輔が、都合が悪そうに声をあげる。
何事かと思って、もう一度ちゃんとカゴの中を見た。
えのき、玉ねぎ、しいたけ、トウモロコシ、キャベツ…………。
「何か嫌いなものでもあった?」
槻野が、不安そうに顔色を窺う。
「べッ、別に!ねェよ!!」
目を泳がせ、吐き捨てると、さっさと何処かへ行ってしまう。
その後を、取り巻きが追っていくのを、俺たちはただ見送った。
………………分かりやすいな。
「どっどうしよう?」
「いいよ。放っておこう」
オロオロとしている槻野からカゴを奪い、七三に押しつける。
ブツクサ文句を垂れている七三を引き連れて、レジに向かった。
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