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「ヨォーシ!ドンッドン買うぜェ!!」
バスを降りるなり、腕まくりをして気合いを入れている男に、遠い目をする。
今日一番の懸念材料だ。(別に今日に限ったことではないが)
取り巻きは、どんな百輔でも格好よく見えるようで、とろけきった表情をしている。
「まぁ待ってくれ、諸君。
買い物の時間は限られている。ここは手分けしようじゃないか」
七三が、眼鏡を光らせ、どや顔で制す。
どや顔は置いといて、班をまとめる七三に、これほどない頼りがいを感じた。
そんな訳で、お肉班と野菜班に分かれることになり。
「分け方は……………」
「ヨッシャ!行くぜェ業者!」
言うより早く、首に腕が回って来て、体を引き寄せられる。
いわゆる、肩組み。
思わず、目を見開いた。
さらに言うと、いきなり上手く息が吸えなくなって、ビックリした。
とにかく悟られないように、いち早く体を離そうとする。
「ちょ、と」
「………ここは、公平にジャンケンで決めよう」
不満な者がいるようだ、と七三が恐々と取り巻きを見やる。
そこには、まさしく般若が居た。
チェッ、と短く舌打ちして離れていった百輔に、ホッと息をつく。
……………助かった。
皆が、自然に円形になる。
関節を回して、気合い十分な百輔が、すぅっ、と息を吸い込んだ。
「せェーのッ……………」
ジャンッ!ケンッ!
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