∽前編なる前編∽

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「でもさ、鬼束先輩、嫌がってないよ?ああ見えて」 「アレがですか?」 高城さん曰く、アレは鬼束さんの愛情表現でそうは見えなくても2人はラブラブ、らしい。 激しく頭をひねるしか無く、その矢先のこの事件である。 僕なりの推理では、2人の間に何かあったに違いない。 ――事情聴取するなんてとんでもないけど。 片桐さんはいつもと何ら変わらない様子で、目についたらしい僕に聞いてきた。 うわもうやめてください、とは言える訳もなく。 「ここに鬼束警部が来なかったかい?」 「あ、はい、いらっしゃいましたよ?」 先程の大惨事を思い出しながら、忙しい振りをしてみた。 しかし効果は無いようだ。 「…………。そっか。あのさ鈴林くん、ちょっと聞きたいんだけど鬼束どんな様子だった?」 どうして僕に聞きますか?! そう言える訳もなく、そうでなくても内容が内容なので結局言えない。 適当にお茶を濁そうとしたが、次に片桐さんは高城さんの様子に気がついたらしい。 .
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