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高城さんは片桐さんに気づかないのか、尚もめそめそとデスクに突っ伏している。
片桐さんが指先で肩を突ついてみても、無反応。
まさか本当に脳細胞がどうこうしてたりなんてしないだろうけど。
「高城くん、どうしたの?鬼束にいじめられちゃった?」
「いじめとは違うと思いますよ」
――多分。
今ひとつ自信を持てないのが何だか情けない。
と、高城さんが蚊の鳴くような声でぼそぼそと告げ口を始めた。
「鬼束先輩が……、無期限の甘味禁止令とか言って、俺の友を連れ去ったんです……。酷いですよね……」
「すると高城くん、友達を食べるの?」
「この世は弱肉強食です……」
「何ワケ解らない事言ってるんですか」
高城さんには悪いけれど、脳のジャム化を疑わざるを得ない気がしてきた。
「うんまァ、節制は必要だよね……。まァ高城くん、この飴ちゃん食べて元気出して頑張ろう!」
飴ちゃん……、とほんの少し元気を取り戻した高城さん。
止めるべきか否か悩んだけど、多分少しはマシになるだろう。
この判断がいけなかった。
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