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「――とりあえずさ、高城くん、お母さんは大事だからこそ子供を叱るんだよ?ちゃんと言う事聞いて良い子にしてなさい」
「俺、高城さんを産んだ覚えは無いんですが」
「言葉のアヤだって。大変だろうけど頼むね、この子」
大変なのは既に身に染みて解っている。
とりあえずお母さん扱いならまあいいかと妙な納得の仕方をして、仕事に戻った。
結局、高城さんは終業時刻までハイパーダルダル状態だった。
いっそ何か大きな事件でもあれば改善の余地はあったと思うが、それもなく。
その日久々に高城さんが動いたのは、ふと席を立ってふらふらと部屋を出て行った時。
よくあるゾンビみたいな動きがシュール過ぎて、しばらくポカンと見届けてしまった。
鬼束さんの元に殴り込みにでも行くのかと思って、慌てて後を追った。
しかし辿り着いたのは鑑識課。
そこにも高城さんと同期の刑事がいる。
部屋に入りざまに文字通りその人に飛びついた時(これまたシュールだった)、高城さんはその人に用事があるらしいと解った。
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