9人が本棚に入れています
本棚に追加
/128ページ
鬼束さんの視線は高城さんに注がれていた。
けど高城さんが僕の背後にそそくさと隠れる事もしばしばなので、必然的にその視線が僕に向けられる恐れは多分にある。
部屋の暖房はそこそこ効いているというのに、ヒヤヒヤと背筋に冷たいものを感じながら2人を見守る僕。
鬼束さんは丸々数分にも感じられるくらい無言だったが、やがて口を開いた。
その表情から嵐のような怒号を覚悟したけれど、出てきたのは至極冷静な言葉だった。
嵐の前の静けさという言葉があるくらいだから、逆に怖いとも取れるけれど。
「……おい高城。お前最近、糖分摂り過ぎだ。このままじゃ脳がジャムみたくドロドロになるかも解らねえぞ」
――確かに。
そんな話、聞いた事ないけれど。
「と言う訳で、今持ってる甘味は全て没収だ。全部出せコラ」
口調が『ヤ』から始まる3文字の職業の人のそれだ。
やはり恐怖しか煽らない。
.
最初のコメントを投稿しよう!