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“出せ”と言っておきながら鬼束さんは高城さんのデスクの上や引き出しや鞄の中を徹底的に漁り、多分ほぼ全てを回収した。
高城さんもその間、ただ指をくわえて見ていた訳ではない。
そんな殺生な、とか勘弁してください、とか鬼束さんにすがりついていた。
ことごとく無視されたけれど。
「せ、先輩!あの、俺、1日1品でも甘味を摂らないと脳細胞が死滅してしまうんです!」
「初耳ですけど!」
堪えきれず突っ込んでしまった。
雰囲気的に出来れば間に入りたくなかったのに。
しかも、そんな脳のジャム化と同等に有り得ない話に鬼束さんが相手にする訳もなく。
いや脳のジャム化を説いた張本人だけれど。
「ふん、そんな見え透いた嘘に騙されるか。グラニュー糖でも食ってろ!」
「いや、それはそれで問題でしょ!」
高城さんの事だから本気にし兼ねない。
あ、高城さんの事を馬鹿にしている訳ではありません、断っておくと。
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