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とは言え、鬼束さんの言葉は横暴ながら真っ当な正論である。
まあそれ以前に怖いというのがあるけれど、その場の誰も高城さんに助け船を出さなかった。
もちろん僕も。
鬼束さんは没収した甘味を抱え、部屋を後にするべく踵を返した。
無情にもスタスタと去り行くその背中に、高城さんはなおもすがりついた。
往生際が悪いと言うだけだが、しかもこの時はタイミングやら何やら全てが悪かった。
「先輩、待って、お願いですから――」
鬼束さんのズボンの腰辺りを掴んだ高城さん。
恐らくその指が偶然ズボンの裾にしっかり引っかかり、恐らく――いやそれが全てか。
そして高城さんはワザとか否かバランスを崩し、前のめりに倒れたのである。
これについては故意でもそうでなくても、完全に高城さんが悪い。
本格的にその場に鬼の咆哮という嵐を巻き起こしてしまったのだ。
高城さんが転んだ瞬間、高城さんの腕と共に鬼束さんのズボンが床に向かってずり下げられた。
で、青と白の縞のボクサーパンツがバッチリ見えた。
僕を責めないで欲しい。
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