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部屋の窓ガラスはその時、割れんばかりにビシビシ揺れていたと思われる。
高城さんは鬼束さんに雷のような怒号と拳骨を落とされ、とどめに無期限の甘味禁止令を言い渡されてしまった。
その日、高城さんは本当に脳細胞が死滅してしまったんじゃないかと思うくらい項垂れていた。
そしてこれはいつもの事ではあったけれど、仕事らしい仕事をしてくれなかった。
鬼束さんが足早に部屋を去ったと入れ違いに、もう1人の高城さんの先輩刑事が部屋に現れた。
鬼束さんと同期の刑事、片桐護(かたぎり まもる)刑事。
この人も鬼束さんと同様、面倒見が良いと評判だ。
さらにこの人、人当たりが良く容姿端麗、と簡単に言えば才色兼備そのもの。
男女問わず刑事にも人気があると聞いた事がある。
が――――、だ。
綺麗なバラには棘がある、とかそんな言葉があるけれど、果たしてそれが相応しいかは解らない。
この人、才色兼備という言葉は合っているけれど、実は意外な一面がある。
あまりホイホイと口外してしまうのもどうかと思うけれど、有名な話なので気にしないでおこう。
彼――片桐刑事はいわゆる男色家である。
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