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「って事は私を病院に運んだのも」
「そうです、拙者でござる」
「じゃあ、あなたが赤頭巾って組織の黒幕で、クミを創ったって言うのも……」
「嘘だね、誰かしらんけど俺をなんとか悪者にしたいんだろうね、俺を知る誰かがね。で、二人をここに来させたのは誰だ?」
「真綾さん……」
美久は真綾の笑顔が頭から離れない。
助けてもらった事もある。
靖子を探してくれた事もある。
クミも救ってくれた。
なにも繋がってこなかった。
「真綾――傭兵か、厄介な相手だなあ」
「傭兵?刑事じゃないの?」
「刑事なの?俺の情報では彼女は傭兵の殺し屋さんみたいな感じ。多分俺を狙ってるんじゃないかな、俺をおびき出す為に美久を使った。信じ込ませるためにドッペルゲンガーを救った。どう?」
「私はあの人に命を救われたのは事実だ!もう誰も信じれない!!」
クミの混乱は頂点に達していた、指が勝手に銃のトリガーに掛かった。
「クミ……」
美久は判断が出来なかった。
真綾も達也も嘘を言っているとは思えない。
決定的な証拠がないのだ。
「誰も信じれないか。うん、そうだ、それでいい、自分が納得いくまで疑え」
達也が無表情で立ち上がり、ゆっくりとクミに近づく、クミの手は震えた。
クミの目の前で微笑む達也。
その瞬間、達也が瞬時にしゃがむと、銃を達也に奪われた。
クミは地面に座り込む。
銃を調べるように色々な角度から覗き込む達也。次の瞬間、想定していなかった事態が起こる。
「ほらね、君は俺を味方じゃないかと心では思った、だから撃たなかったし簡単に銃を奪われた。味方であっても相手の目的を考える事が大事だ」
そう言うと、達也はクミに銃を突きつけた。
「ドッペルゲンガーちゃんごめんね、俺さ美久さえ助かればいいんだよ、君が死ねば、美久は助かるんだよ」
「やめて!!お願い!!」
美久が大声で叫ぶ、しかしクミは動こうとしなかった。
達也は左手の手首を不自然に曲げ簡単にトリガーを引いた。
「パン!」
なんの前触れもなく銃の火薬は爆発した。
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